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わたしの感情の歴史

心のページに刻まれた想いを綴ってゆきます

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わたしという個体 


ふと何かに囁かれたように頭を上げると

山や田んぼや川岸の緑に囲まれて

小さな「わたし」という生物がいる

ことに気がついた


その生物はたしかにわたしらしいのだが

わたしという感覚がいまは消えていて

ただ一面に広がる木々の葉や草の緑のなかに

ぽつんと立っている無機質な個体として


たしかにわたしは此処にいるのに

生きている気がしないのは何故だろう

わたしは今日もいつものように自転車に乗って

この石橋のうえに来た


此処に来るまでの間に

どれだけの時間がこの川を流れていったか

どれだけの人がこの橋を渡っていったか

わたしは知らない


わたしが生まれてからいままでの悲しみや

笑顔や歌を誰も知らないように

わたしはわたしのことさえもすべて忘れてしまって

いまこの橋のうえに立っている


風が頬に触れて流れてゆくのを感じる

せせらぎが足元に響くのを感じる

石の欄干の冷たい感触

いまだ目は何も見ることは出来ず


わたしは石橋と同化してゆく体をふるわせる

傍らにある自転車に手をかける

風が吹く方角へとゆっくりと漕ぎだす

わたしが動きはじめる




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Posted on 2015/06/04 Thu. 22:23 [edit]

category: 詩的つぶやき

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