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わたしの感情の歴史

心のページに刻まれた想いを綴ってゆきます

南国の旅路 


走ってゆく

真夏の太陽のしたを

美しい木々の緑のなかを

見上げる山の城の壁

だれもわたしの足を止めることはできない

皮膚が焼ける 汗が車輪の泥除けのうえに落ちて流れる

息が荒れる 苦しい悲鳴のような喉の声

走ってゆく

閉め切られた窓の裡に結露する 淋しい涙を吹き飛ばして

するどい暑さのなかに身を晒す

だれもわたしの顔を覆うことはできない

神の顔を装う現人神でさえも

走ってゆく

かつて多くの人が死に向かって歩いた道を

わたしはわたしが欲するがまま

かりそめの優しい声を振り切って


わたしはわたしの死が欲するまま

わたしはわたしの目が欲するまま


旋律のない文字の羅列を塗り潰して

力の限りに唾を吐く

珊瑚の死骸のうえに生える草のように


走ってゆく

内海に灯る火がやがて大陸を覆い尽くすまで

声にならない声がリーフを越えて

外海に沈むマグマを呼び起こすまで


日差しの暗闇のなかを

走ってゆく



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Posted on 2013/08/31 Sat. 23:23 [edit]

category: 詩的つぶやき

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31

少女たちの魂 


助けようとして助けられなかった無念の声が

いまも深い穴の奥に聞こえている

供えられる花弁のひとつひとつが舞う

真昼のするどい日差しのなか

焼かれてゆく皮膚のめくれた肉が赤い血を滲ませて

美しく輝いていた

美しく儚く死んでいったあの夏

何も語ってはいないあの整然と並べられた写真には

何も残ってはいない

灰色のセメントで囲われた施設の庭に

鳴いている蝉の声

聞こえている 積み重なった珊瑚の死骸から見つめる

青い空 白い雲の向こうから

見つめているのは誰

内海を越えてリーフの向こうから

外海の荒い波をかき分けて

近づいてくるのは誰

いまも怯えている深い穴の奥で

流れている純血




Posted on 2013/08/31 Sat. 00:47 [edit]

category: 詩的つぶやき

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31

琉球の砂浜 


砂糖黍の干乾びた茎を踏みしだいて進んでゆく影

銃後の声は珊瑚の死骸となって ときおり吹き出す白い波

日傘の陰は人間のかたちをして 岩間の穴へと向かっているよう

白い獣の骨のような日差しは眼球を貫いて 道は砂糖黍畑を貫いて 空へと昇ってゆく

焼けたアスファルトの気がカーキー色の男を甦らせる

鉄兜のしたの鮫のような黒い目が かつて流された血のフィルムを映している

時が冷気となって 山の陰に 東屋の屋根のしたに 戻れない穴を

その穴は民家の垣根のしたの

誰も知らない

誰も触れることのない

海に沈んだ吐息を

ガラス箱に閉じ込めている




Posted on 2013/08/31 Sat. 00:06 [edit]

category: 詩的つぶやき

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31

島のみちくさ 


古い民家の風にゆれる木戸

砂糖黍畑の葉叢の陰で 鉈で切られた声が草を食んでいる

するどい日差しに昨日の嗚咽が乾いている

道を外れてさ迷う 貧しい人たちの声が聞こえない所まで

日焼けした足が 澄んださざ波のなかに沈んでゆく

珊瑚の死骸に重なって 目が岩の気泡のなかに埋もれてゆく

リーフの向こうには憧れていた怖ろしい海が 砂漠の夢を見ている

自転車を下りて歩いてゆく

死んだ作家の足跡を残す砂浜へと



Posted on 2013/08/30 Fri. 03:00 [edit]

category: 詩的つぶやき

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30

わたしが旅するわけ 


坂を上っているとき

わたしは坂のうえに

わたしを見るのだ

坂のうえで微笑むわたしへと上ってゆくのだ

南国であればその見えない坂の向こうに水平線を 透明な水のなかに揺れる光

その光のなかを泳ぐわたしを想うのだ

坂を上りながらわたしはわたしへと近づいてゆく

炎天下のしたで焼かれながらわたしは

わたしが欲することばを呟く

「信じている」と

見えない坂の向こうに得体の知れない闇が

不在の部屋の窓からのぞく空のように続いている

たとえ旅人が帰る家を失っても

食べる糧を失っても

わたしがわたしであることは失えない

わたしは旅する

進むことを宿命とする肉体として

時間の囚われ人として

知らない道を探して



Posted on 2013/08/25 Sun. 01:54 [edit]

category: 詩的つぶやき

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25

住吉海岸にて 


道は海の底へと続いている

電柱の下に隠された道は遥か向こうの対岸を超えて

水平線へと続いている

消えた足跡は電柱を伝って送られる 岸で網を結う漁師の元へと

潮の香りを吸い込んで車輪が回る

その時間の流れにそって

いくつもの影と音と眼差しとが見えない星へと昇ってゆくとき

消えた道の幻が静かな波を裂いて浮かびあがる

やがて道は戻れない川のように海の底へと沈んでゆく

されどわたしの心は進んでゆく

終わりのない旅路を夢見て

果てのない辛苦の森へと


P7160491.jpg

Posted on 2013/08/20 Tue. 20:52 [edit]

category: 詩的つぶやき

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奄美の半島にて 


苦しい砂利道のうえを

乗れない自転車のサドルに手をかけて

とにかく上るしかない

それは坂なのだから 峠を越えるにはその坂しかないのだから

そんな坂を上りきった

だからといって何もない

だれも誉めてはくれない

それでも流れた汗が濡らした体にひととき

すずしい風がふく 峠の頂きで

だれも見ていない海を見る

だれもいないからこの旅の記録は

わたしが記すしかない

だれも見ることのないノートに

日に乾いたページに

汗の滲みが残っている



P8110375.jpg

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Posted on 2013/08/19 Mon. 22:41 [edit]

category: 詩的つぶやき

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19

与論島にて 

透明な水のなかに 草原が広がる

かつて見た光の粒々

かつて見たはずの日差し

障子の隙間から覗いていた目

波間にゆれて白い砂のうえに

笑っているような

泣いているような

かつて見たはずの光

畳の目に忍びこんで燃えていた

時間のなかに取り残された目

あの遥かな沖の向こうに

怖れていた憧れがある

近づいているのか・・・わたしは

満ちてゆく潮に沈んでゆく

旅人の目

Posted on 2013/08/09 Fri. 22:16 [edit]

category: 詩的つぶやき

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