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わたしの感情の歴史

心のページに刻まれた想いを綴ってゆきます

灯りを消した部屋で 


カーテンがひらめく

灯りが消えた部屋の 扇風機の音に紛れて

雨音が落ちてくる

「どうしてだろうね」と呟く声

目が馴れるまでは忘れていられる

昨日のこと今日のこと明日のこと

「どうしてだろうね」とまた呟く声

昼間の電車のなかでは色んな顔が

時にうつむいて 時にわたしを見ていた

「何をしてるの」

ただ寝そべっている

そして帰ってゆく日差しのなかへ

誰もいない庭の

白いテーブルの席へ


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Posted on 2013/06/20 Thu. 23:56 [edit]

category: 詩的つぶやき

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20

襟裳岬の宿 


思い出すのは襟裳岬の宿

わたしひとりの大部屋に夕暮れの日が差して

北国の涼しい風が開け放った窓から吹き抜けてゆく

昼間にみたキタキツネが窓のしたで誰かの靴を咥えて佇んでいる

窓から見下ろす庭は夕暮れの時のなかで

わたしの庭を映していた

埃まみれの醜い部屋からのぞく庭

日焼けしたわたしの腕のように垂れ下がる夏草

こらえきれない叫びが蒸れた土を突き破って

張りつめた表皮の幹が立ち並んでゆく

鋭い日差しに映えて 赤い血を吐き散らかして

そんな庭から逃げ出して

キタキツネに見つめられていた日

また夏がきた

待っている不在の部屋

バルコニーの

ガラス窓に張りついた目



Posted on 2013/06/20 Thu. 00:00 [edit]

category: 詩的つぶやき

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20

歩いている死 


死者でさえ死にむかって動く

     田村隆一「腐敗性物質」より


わたしの死は誰のものでもなく

わたしだけのもの ましてや

生命保険会社のものではない

運命は幻想 朝の鏡のなかの背景

顔の輪郭と眼差しを支配するのはわたし

乾いた荒野のしたに蠢いているマグマの火

わたしは運命を排して

朝の気怠い午後の部屋に沈んでゆく

昨日の雨の中に 明日の雲のなかに

言い知れぬ予感を感じて でもそれは運命ではない

今日に聞きそびれたわたしの声だ

あなたの死んだ母親も歩いている

あなたはあなたの足音に怯えて立ち止まっている

でもあなたの声は動いている 歩いている

あなたの影のなかに知らず開けた時間の道を

鼓動が探りあててしまった

わたしは逃げている そう石に躓いて転んでしまった

惨めな顔

惨めであるがゆえにわたしの顔はひとりぼっちで・・・


思い出すあの日

灯もない林道を下ってゆく自転車で

恐怖にかられて走ってゆく真っ暗な道

いつしか

いつしか恐怖は死を追い越して

光を求めて走っていた

死はやがて置いてけぼりの林道に消えていった


動いている 歩いている

聞こえなかった声と 崩れてしまった肉体の輪郭と共に

怯えているわたし

わたしの死が

あなたの鼓動を聞いている

道を探している




Posted on 2013/06/12 Wed. 23:38 [edit]

category: 詩的つぶやき

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12

山道の記録 


山道を覆う緑の葉が日をうけて

まるでトタン屋根のようだ

光は昨日の朝の気怠い部屋を照らして

肉体はすすんでゆく

無限に連なる峰に伸びてゆく

日差しの目の裏に浸食する陰に産まれる無数の目に晒されながら

足は契約に怯えて車輪を回してゆく

川の袂に来た 欄干もない橋が無数に並んでいる

粗末な橋桁が雨の予感に怯えている

河原の石の好奇な目に晒されながら

渡ってゆく

いつしか肉体は

昨日の朝の気怠い肢体が滲ませる汗となって

畳の目のなかに落ちてゆく



Posted on 2013/06/12 Wed. 21:37 [edit]

category: 詩的つぶやき

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12

夜の玄関の灯 


電熱線の下に灯が漏れている

灯は玄関を照らしている

ドアは夜の日差しの下で固く閉じている

眩い逆光線のなかに産まれたばかりの死にきれなかった虫が

ガラス窓の空を泳いでいる

回りはじめたフィルムが午後の庭を映している

雨雲の隙間から漏れた日が

生え盛る緑の葉を射している

探している本棚の隅の陰に吹き溜まる埃のなかに

分厚い不遇の物語のなかに

隠ぺいされた声が

夜道を上ってゆく

叫びながら 歌いながら

声は闇のなかに息絶えてゆく

輪郭を残して




Posted on 2013/06/10 Mon. 22:28 [edit]

category: 詩的つぶやき

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10

橋の上から見下ろす道  


橋の上から見下ろす道

橋ができる前の道 道は古い線路を伝って

まばらに屋根が見える村へとつづいている

その道へは橋を渡ってゆかねばならない

橋はこの立派な橋から見下ろすガードレールもない小さな橋

その小さな橋を見下ろして同じ川の上に立ち

山の死角に隠れた村を眺めながら

わたしはどこへ行こうとしてるのだろう

錆びついた陸橋の鉄を支える橋桁の袂で

遊んでいた記憶

見上げていた空にかかる橋

白い雲を見上げて草むらに埋もれていた・・・

見下ろしているかの幻想は

言葉がつくったイメージ

そのイメージの陰で ふいに置かれた言葉のしたに

閉じ込められたもの

言葉が隠した声の道を

時間が遡ってゆく



Posted on 2013/06/08 Sat. 22:55 [edit]

category: 詩的つぶやき

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08

6月 


6月---

歩いてゆくひとの目のなかに

隠された目がある

近づいてゆく葉叢の陰のなかに

閉じられた道がある

今日は昨日 明日は思い出のなかに

葉影のトンネルを降りてゆく時間

日差しが漏れる隙間から

覗いている無数の目が

未来を暗示している

夏の日の畑に張られた電熱線

橋のむこうに高速で流れてゆく

鉄やガラスが記憶する残像

登ってゆく山道の斑に落ちる日の奥に

待っている目がある

色もない気怠い午後のコンテに

うなだれている肉体



Posted on 2013/06/05 Wed. 23:46 [edit]

category: 詩的つぶやき

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05

過去も未来もない 


風が吹く茂みのなかに蹲っているだけで良かった

そんな時間に

かつて聞いていた鳥の声

そんな光景に

日が差してくる

過去も未来もない

時計の針の音は文字の後ろに響いて

進んでいるのは幻想

回っている世界に時おり誰かが囁く

のを聞く

肌寒い午後の部屋

何かをじっと見つめている目

文字が反転する

震えている手の理由を

知らない



Posted on 2013/06/02 Sun. 10:47 [edit]

category: 詩的つぶやき

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02

瓶の尖 


日差しを受けて光る瓶の尖

磨りガラスのむこうに透けて見える道

あなたが思っている以上に世界は辛辣で

あなたが思っている以上に時間は早く

思う間もなく流れてゆく

地鳴りを響かせる冷蔵庫の風車

整然と並んだ食器

流し台に映る殺人者に

歯磨き粉の白い唾を吐いた

誰も叩くことのないドアを開ける

寝静まっている家の窓ガラスに

昇ってゆく光の筋が

木の幹照らしている

あなたが思っている以上に夜は暗く

熾のなかにくすぶる声は小さい

聞こえない

見つめるのはガラス戸の木の格子

星空を分かつ時代の影

かつて見たはずの背中

歩いてゆく夜の夢のなかへ

あなたに会えると信じて



Posted on 2013/06/02 Sun. 00:21 [edit]

category: 詩的つぶやき

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02