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わたしの感情の歴史

心のページに刻まれた想いを綴ってゆきます

白壁 


真昼の夢が遊んでいる

外灯に照らされた白い壁

風もないのに

ゆれている影


回る時間の夜の歪に空いた穴

走ってゆく背中が映しだされる

人気のない路地の家の白い壁に


木々のゆらぎを映す水面に

夜の滴が落ちて

波紋が広がってゆく

過去も現在もないまぜにして

明日へと流れ落ちてゆく


眼差しは据えられたカメラのように

いつまでも日が昇るまで記録しつづける

雨の予感に怯える月光の震えも



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Posted on 2013/01/31 Thu. 22:40 [edit]

category: 詩的つぶやき

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31

日本人 


異国で流される血

かつてローマ帝国に滅ぼされた地

フランスが130年支配したアフリカの地

日本人が死んだから

日本人は悲しみ殺人者を憎む


イスラムが去ったあとキリストが支配した地で

仏教徒が殺された

誰を憎むか

TVのコメンテーターは

歴史については何も語らない


日本人が死んだ

かつて流された血が黒い油となって噴き上げる地で

誰もしらない親子らが

貧しい恋人たちが

虐殺された地で


それは殉職だという

失われる前の生を讃えて

TVの前で酒を飲む

日本人


石油は必要だといい

レアメタルは必要だといい

殺し合わされたフツ族もツチ族も知らないで

日本人が数名死ねば

悲しいという

日本人


そして原発は

電気のために必要だという

原子炉の下で被曝している日雇作業員のことは知らないで

いや知らないふりして

自分の子供には

マスクをして学校に行けという

日本人



Posted on 2013/01/30 Wed. 22:34 [edit]

category: 詩的つぶやき

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30

朝の玄関 


明るい朝の玄関

埃っぽい輝き

ガサガサと動く足

昨日の思い出

今日の歌

道を歩く人の気配に

ドアが開く

日差しを迎える



Posted on 2013/01/30 Wed. 08:25 [edit]

category: 詩的つぶやき

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30

つまらない 


眼差しが見つめるもの

つまらないもの

梅干しのパッケージ

つまらないもの

詩になるはずもないもの

それでも見つめる

つまらないもの

つまらない目が宇宙の果てから

つまらない地球を見つめている

美辞麗句に綴られる

つまらない詩

嗤っている都会の影

影に支配されて

見えない顔で嗤っている

敷石に落ちる滴

つまらないお前の生活

コンクリートの床下を流れるせせらぎに

つまらない愚痴が乗る

運ばれる

枕の下

泣いているのは

お前の過去か未来か それとも

月か日差しか

つまらない

つまらない時間に

見つめているあなたの顔

面白い

愛おしい

つまらない日常の

けなげな目じりの皺



Posted on 2013/01/29 Tue. 23:23 [edit]

category: 詩的つぶやき

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29

 


イメージが動きだす時間は でも

時間のようでいて時間ではない

譬えるならば白い庭

動いている針を見つめる目は でも

時間のなかに居ない


段々と狭くなってゆくかのような路地は 幻

どこまでもどこまでも

進んでゆけるのだむしろ

広がってゆく

それが苦しみとは知らずに


かつて書いた詩句は

葉叢のしたで雨の滴に濡れている

でも生きている

あなたの書かれた心は永遠に死なない


凍える冬の朝に

山肌を覆う白い霜の憂いも

午後の日差しに溶けてゆく

それが幸せか不幸かは知らない


ラジオから流れてくる相談者の涙声に

思わず胸が激しくなる

誰だって目に見えない幸せに 薄情な雲に

話しかける 聞こえない返事


音楽も酒も麻薬のよう

何度でも聴いて 飲む

真夜中に見る

日差しの夢


霞がかった月に

話しかけてみればよい

返事は

明日の朝に聞け


何度でも聴くよアンソニー

あなたの曲を

言葉が出なくなる日まで


言葉が出なくなったら

死ぬのだ

真昼の褥のなかで

溶けてゆく肉体は いつか話しかける庭の土へと


憧れを捨てるなら

どうぞお好きに

あの水平線は

なにも望んで 待ってもいないから


暗闇がわたしを捨てるなら

スタンドライトに顔を照らして

青白い頬の窪みに

種を植える


自転車が走っている

わたしを乗せて

あの夏の思い出がピアノの旋律に乗って

利尻富士を見ている


ああ イメージが消えてゆく

夏の海に沈んでゆく

わたしがあなたが救われるのなら

それは・・・


せせらぎ

さざなみ

木々のざわめき

いつも悲しみは

儚い希望は

流れない涙は



のなかにある



Posted on 2013/01/29 Tue. 22:44 [edit]

category: 詩的つぶやき

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29

逆光線 


逆光線

顔のない憶い出

電線に止まって動かない鳩

青い空のむこうに沈んでゆく夕焼け

過去のフィルムに焼き付いた尋ね人

道に迷った恋人たち

道路に舞う塵の輝き

風が吹きだまる塀の陰

いい知れぬ明日への不安

逆光線

いまだ動かない鳩

青い空に置かれた黒い像

太陽の血痰

昨日の夜から聞こえてくる声

木々の眼差し



Posted on 2013/01/29 Tue. 12:48 [edit]

category: 詩的つぶやき

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29

柿の木と空 


柿の木畑の向こうに見える空

仕事に疲れた目で見上げる


季節を映して流れる風

郷愁か憧れかそれは知らずに

ただ立ちすくんでいたい


晴れた日は優しく微笑む

子供のように無邪気な空のポエジー

うつろう季節の止まった時間


黄昏の予感に鳥は帰ってゆく

見えない山の向こう

人が居ないところ



Posted on 2013/01/28 Mon. 16:41 [edit]

category: 詩的つぶやき

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28

Ansoni - we were incapable of caution へ捧ぐ 


耳を澄ませば聞こえる音

雪が溶ける音

凍える雪の夜道に這いつくばって

聞こえるその微細な音が

ピアノの旋律となって響いている

ありえない日差しの精となって

夜道に遊んでいる


見えない現実は見えないまま

都会の空を巡って

熱帯の夜へとたどり着く


青い魚が虹色の海にはねる

きらめく滴に太陽の色が映える


魂がゆくところ

あなたの旋律は輝いて

世界を巡る


ひとりのこの部屋にも

旋律は道となって

きらめく光となって

あの夏の日の岬へと・・・



Posted on 2013/01/27 Sun. 23:44 [edit]

category: 詩的つぶやき

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27

雪の夜に 


ドアを開けたら

一面真っ白だった

薄く降り積もった雪が

夜の冷たさに溶けずに留まっている

車の轍が路地の死角へ 闇へ消えている


過去も未来も憂鬱な現在もないまぜにして

轍にそって歩いて行こうか

沈黙は沈黙のままに

何も強要しない

聞こえない声はイメージとなって伝わっているから

そのイメージが放つ淡い光を頼りに

歩いて行こう


何も怖くはない

生きる恐怖は終わった過去にある

雪のムシロに足跡が付いてゆく

向かう先は知っているようで

誰も知らない未知の世界

わたしと 手を繋ぐあなただけが知る世界だから

何も恥じることはない

何も悔いることのない未来は

路地の死角で微笑んでいる


過ぎてゆく時間のなか

溶けてゆく雪がいまは留まっている

立ちどまってあなたが見つめるもの

朽ちてゆく柱 傾いてゆく屋根

それは過去のようで現在 いや時間のなかでは未来・・・


明日の朝を想う

雪は溶けて

日差しは路地の死角を照らして

わたしはどこへ向かっているだろう


庭の枯草は渇いたまま

洗濯物は干されてゆく

何を悔やむことがあるか

わたしもあなたも

ひと時も留まってはくれない世界で

悔やむならばせめて

雪に想いをなぞって伝えて欲しい

月が沈むまでに



Posted on 2013/01/27 Sun. 23:13 [edit]

category: 詩的つぶやき

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27

憂う心よ 


木々のざわめきは

海のさざなみとなって

川のせせらぎとなって

過ぎてゆく車の音は

山へと吸い込まれてゆく


痛みに憂う心は

ときにいらだちとなって物を投げる

畳に散らばる残骸を片づけながら

傾いてゆく日を見つめる


変化を求めながら人は

心を乱すノイズに過剰に反応して

ときに自分を忘れて

何気ない人の所作を憎んで


そしてまた山のうえの雲を見つめる

やわらかな日が下りてくる

風は海へ 雲はつぎの空へ

留まっていた心は

眼差しの精となって夏へと向かう



Posted on 2013/01/27 Sun. 14:29 [edit]

category: 詩的つぶやき

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27

平静な朝の詩 


眩しい光と

洗濯機の音に

病んだ体が

牧歌的な夢を見る

昨日の夜は目を開けたまま

時間に流されて朝へとたどり着いた

はじまってゆく今日の時間は

明るい庭の葉叢の下で

強い風の予感に怯えている



Posted on 2013/01/27 Sun. 09:23 [edit]

category: 詩的つぶやき

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27

冬の坂道 


北風に煽られて

枯葉が坂道を上ってゆく

並ぶ家々の戸に渇いた音を響かせながら

玄関に佇む人の気配を残しながら

山に吸いこまれてゆく風に乗って

ときに舞いあがる

灰色の雲の精が遊んでいる

人の目がない路地の真中で

淋しい人の声も上ってゆく

冷たい風が下りてゆくなか



Posted on 2013/01/26 Sat. 13:22 [edit]

category: 詩的つぶやき

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26

朝の倦怠 


朝に穿たれた洞穴のなかを

声は谺しながら進んでゆく

倦怠は倦怠のまま

夜を過ごしてきた

ストーブの明りが 夕暮れのようだ

鏡のなかに揺れる生活の欠片

微動だにしない庭の枯草

日差しの予感に

鳥が鳴きはじめた



Posted on 2013/01/25 Fri. 08:43 [edit]

category: 詩的つぶやき

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25

酔いどれの部屋 


音楽は麻薬のように

グラスの酒と煙草と落花生と

誰も見ていない

誰も知らない夜に

なぜ書いているのか

その問いは目となって

煙のなかでわたしを見つめている


意味を忘れた言葉の精が

秋の陽だまりに舞っている

忘れているのは幸いだ

いましがた降りだした雨のように

ふいに訪れる現実だけを信じる


再生されない声の前でうなだれる

干からびて無機となってしまった心が

いつか砕かれる日を待つしかない

永遠の時間に囚われた身体


音楽はいくらでも再生される

何度でも何度でもスイッチを押す

言葉を終わらせるため

でも永遠の夢は

とぎれとぎれの音楽のように

沈んでは昇ってゆく陽のように


意志にはじまって無意志に終わってゆくもの

無意志にはじまって意志で終わらせるもの

今のなかに生きているもの

過去から甦って

今に死ねずにもがいてるもの



Posted on 2013/01/24 Thu. 23:33 [edit]

category: 詩的つぶやき

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24

朝の部屋 


朝の光に照らされた

古い柱の亀裂

襖のシミ

ゆれて輝く洗濯物

乱雑に置かれた小物

机の下の陰

積み重った書籍

寝転んでいる顔に落ちてくる

埃の一片

じっと見つめている眼球

何かを待っている手

口は閉じたまま

知らないメロディを口ずさむ



Posted on 2013/01/24 Thu. 10:53 [edit]

category: 詩的つぶやき

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24

追憶の影 


影を照らす日に

影は消えることなく

鍵盤を叩くしなやかな指のように

路地を漂ってゆく

気がつけば

後ろにいる

過去から歩いてきたような

虚ろな目をして

見つめ合う

午後の鋭い日差しの下で

捨ててきたものを拾って突き返す

何も捨てることのできない残酷な真昼に

追憶を抱えて立ちすくむだけ

どうして生きているのか

その訳をしりたくて問う

答えてはくれない影

ただ嗤っている

やがて夕暮の赤い陽に消えてゆく

一枚の葉を残して



Posted on 2013/01/23 Wed. 23:55 [edit]

category: 詩的つぶやき

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23

誰が許すか 


夜の糸が紡ぐ

破れた紙片

重なってゆく

落花生の殻


離れている限り心は自由だ

闇に消えてゆく音に

気ままな孤独を楽しむ


月が美しい

星が美しい

ならば誰が

わたしのあなたの目を塞ぐか


夜の色が落ちてゆく

少しずつ少しずつ朝に向かって

その希望の自転を

誰が止めるか


誰が辱めるか

裸のわたしを あなたを

誰が嗤うだろうか

流れなかった涙の軌跡を


誰が知るだろうか歴史を

誰が修正するだろうか

閉された門の前

立ちすくむ影を


許すことは

許されること

辛辣な過去の風に

進んでゆく未知の背中



Posted on 2013/01/23 Wed. 22:41 [edit]

category: 詩的つぶやき

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23

リンク 


音楽が繋ぐ

存在する時間の

位置を知らない者同士が

感じ取る言葉


ながれる旋律に運ばれて

海の果てに沈んでゆく指先に触れるもの

胸に打ち返す波のしぶきに

高まる鼓動


夜と夜に張られた弦が弾かれるとき

闇に眠っていた鳥が目を覚ます

盲のまま見えない夜空を飛んでゆく

遠い峰からながれてくる音楽に導かれて


過去にうずくまる少年は

葉叢の奥に聞こえる虫の声に呼ばれて

夏に帰ってゆく

裸足のまま 路地の死角に消えてゆく


人の声がする

土壁の罅割れた隙間から

視線を伝って入りこむ

涙の生まれるところへ


耳の欲望を

目はやり過ごして

口は

名前をそっと呟く


すると色づいてくるイメージ

回転して

枕の下に植えられた種子に

命の吐息を吐く



Posted on 2013/01/23 Wed. 18:02 [edit]

category: 詩的つぶやき

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23

朝の詩 


朝の冷たい空気が

部屋を包んでいる

鳥が鳴いている

鳥は日差しに向かって鳴いている

歩いてゆく

明るくなった路地を

日差しに向かって



Posted on 2013/01/23 Wed. 08:28 [edit]

category: 詩的つぶやき

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23

就寝前の詩 


これ以上飲むと

明日の朝喉が渇いてしまう

これ以上書くと

明日の言葉が渇いてしまうか

否、そんなはずはない

尽きることのない心は

永遠に湧きつづける

水脈を枯らしてしまうのは

人間のエゴ

卑俗な欲望

生活に逃げた

卑怯な言い訳

こんなボロ屋の狭い部屋にも

せせらぎは流れている

美しさはいつも

苦しみのなかにある

見上げる空の瞬く星が

怯える影を笑っている

あなたがあなたらしく生きるためには

風の声に紛れて囁く詩編のかけらを

掴みとるしかないのだ

明日も日が昇る

あからさまにか雲の下に隠れてか

いずれにしても

囚われて生きる人間の

格子の外を眺める眼差しに

儚い夢を託すのだ

刹那に消えてゆくものだけが

永遠だと信じて



Posted on 2013/01/23 Wed. 00:03 [edit]

category: 詩的つぶやき

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23

Ansoni - Aglia Tau へ 


落ちてゆく滴のような

ピアノの旋律

濡れて輝いて

やがて流れてゆく開かれたドアの向こう

明るい日が差す庭へと


いつまでもこのような世界が

永遠に続いてゆく夢を見させてくれる

ピアノの旋律

夜の闇に穿たれた

夏の日の象


歩いてゆく

背中に影を抱いて

抱擁する

新しい大地

生きている証し



Posted on 2013/01/22 Tue. 23:17 [edit]

category: 詩的つぶやき

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22

リフレイン 


視界がおぼろげになって

不能となった目が映したイメージに

産まれる芽がある


誰が救うかこの夜の倦怠を

誰もいない部屋の暗がりからぼんやりと現れる

見えない人の輪郭だけを頼りに

盲となって伸びてゆく手は

あの山を越えてゆく


涙が落ちる

卓に広げられた五線紙のうえに

旋律が滲む

夜の霧に濡れた葉の滴が落ちて

弦を叩く


見張った目が追いかける

逃げてゆく追憶の背中

追いつけない過去

残酷な時間が置き去りにした音楽と

あなたとわたし


何度でも繰り返す

始まりも終わりも繋がっているのだから

何度でも生きて

何度でも死ぬ

何度でも苦しむ



Posted on 2013/01/22 Tue. 22:47 [edit]

category: 詩的つぶやき

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22

サークル・ゲーム 


なぜ繰り返すのか

その命の謎に近づくために書いている

なぜ帰ってゆくのか

なぜ生まれてくるのか

ある映画のトラックが

いつも心のなかで巡っている

回転木馬に乗ったまま

老いてゆく皮膚

曲がってゆく手足

夕暮に伸びてゆく影は闇に溶けこんで

朝日とともに甦る

悲しみはつかの間の悦びに絆されたあと

また孤独の闇に帰ってゆく

自転する惑星の破裂する夢を

太陽が燃やしている

回帰する水のながれに泳ぐ魚

夏の日が残した傷跡

永遠の軛を逃れて沈んでゆく血の亡骸を探して

書いている



Posted on 2013/01/22 Tue. 15:57 [edit]

category: 詩的つぶやき

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22

自転 


人の声がする

雨上がりの日が差しはじめた庭に

人は一人のようで

誰かの温もりのなかにいる

声は一つのようで

多くの声に囲まれている

発した言葉にかたちがないように

見えない人の輪郭は

ときに鳥の鳴声となって

屋根から落ちる滴の音となって

心の庭に佇んでいる

光が草に重なって陰ができる

傾いてゆく日に陰は伸びてゆき

昼は夕暮へ 夕暮れは夜へと落ちてゆく

去りしものと来しものは繋がって

手を握りしめたまま

落ちてゆく



Posted on 2013/01/22 Tue. 12:48 [edit]

category: 詩的つぶやき

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22

桜の花が咲くころには 


伝わってくるもの

言葉や写真からイメージされるもの

近づきたいと思う心が

詮索する色んなこと

でも人間の欲望には限りがないから

知ったあとにはまた新しい情報が欲しくなって

その欲望はあなたをいつか骨まで噛み砕いてしまうだろう


移ろいゆく季節

桜の花が咲くころには

庭の枯草も土に帰って

新しい緑の芽が生えてくる


罪な心も移ろいゆくことを救いに

わたしは書いている

わだかまる川の澱みにゆれる水草の儚さに

眼差しを落として波紋をつくる


あなたがかつて飛び立ったあの崖から

海を眺めている

日差しに美しく映えた翼が落とした悲しみを拾って

遥かな水平線に交差して風に映している



Posted on 2013/01/21 Mon. 21:59 [edit]

category: 詩的つぶやき

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21

予感 


昼からの予報は雨なのに

いまは日が眩しいくらいに差している

事実は予感を追い抜いて突然くる

放たれた矢は一瞬で的を射ぬくか

永遠に飛んで地球を回り続けるか


予感は裏切られた希望

拾った悲しみ

夕暮に伸びてゆく影

ドアを激しく叩く風



Posted on 2013/01/21 Mon. 09:19 [edit]

category: 詩的つぶやき

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21

落下 


傾く日差しが

崖の岩肌を流れる滴を輝かせる

俯瞰する魂が羽のように手を伸ばして

落ちてゆく 霧に霞む森のなかへ

見ることのできない悲しみのなかへ

神を失った闇のなかへ

落ちてゆく 人はみな

落ちながら地球をめぐる衛星のように

進んでゆく 沈みながら

立っている 崩れながら

時間はゆっくりと流れているから

人はみな儚い夢に永遠を見る

廃屋のなかの止まった時間

かつて遊んだ人の気配は消えない

柱が朽ちて 屋根が崩れ落ちるまで

場所 あなたがいる場所

ここの隣 はるか宇宙の果て

囚われていることを知り

嗤いながら落ちてゆくわたし



Posted on 2013/01/20 Sun. 17:06 [edit]

category: 詩的つぶやき

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20

枯葉 


掃かれる枯葉

集められて

木の陰に重なってゆく

やがて蒸されて熟してゆく土

秋の思い出のなかで

沈んでいた水が昇ってくる

朽ちてゆく葉の裏で

流転する命の

小さな宇宙が

星の輝きを覗かせる



Posted on 2013/01/20 Sun. 15:08 [edit]

category: 詩的つぶやき

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20

時間が忘れた部屋 


畳の部屋に座って

ただ一日が過ぎるのを待っている人

空はこんなに明るいのに

峰にながれる白い雲を見ないで

土壁の小さな穴を見つめている

夕暮の予感もない

平静な真昼の倦怠のなかで

渇いた空気を吸っている


時間が置き忘れていった箱のなか

差し入れられる手もない

空虚な枠を滑る光は

無限の暗闇へと落ちてゆく


血のながれる音も聞こえない

ときに伸ばされる手は何も掴もうとしていない

目は過去の静物に囚われている

無情なつぶやきが聞こえるところ

光のない安らぎが

彼の影を消してゆく



Posted on 2013/01/20 Sun. 13:36 [edit]

category: 詩的つぶやき

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20

夜の扉 


扉を開ける

薄暗い部屋の蝋燭の灯りが

逡巡する足元の影をゆらす


見えない過去は

無限に続く未来のよう


 そして私はいつか

 どこからか来て

 不意にこの芝生に立っていた ※


どこへ行くのかを知っているのに

なぜに涙は情熱となって流れ落ちるのかをぼくは知らない


わたしがわたしらしく生きるために

なにがわたしを照らしてくれるか


闇に沈んだ路地の向こう

あまりに小さな家の灯り


夏に死んだ虫の声が聞こえる

あの山の麓まで


歩いてゆく

闇に沈んだ見えない影


※谷川俊太郎「芝生」より



 

Posted on 2013/01/19 Sat. 23:32 [edit]

category: 詩的つぶやき

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19